Part4:女三宮降嫁から光源氏の暗転

<若菜上・若菜下・柏木・横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻(雲隠)>

源氏の四十歳を祝い、正月に玉鬘が若菜を献じる。一方で朱雀院は出家に際して末娘女三宮の行末を案じ、これを源氏に嫁がせる。紫の上の憂慮はひとかたならず、源氏自身もほんの少女にすぎない彼女に対して愛情を感じられないが、兄帝の皇女を無下には扱えない。秋、源氏四十の賀が盛大に行われる。さらに翌年の春には明石女御が東宮の子を出産し、源氏の権勢はいよいよ高まりつつあるが、その陰で、六条院の蹴鞠の催しに女三の宮を垣間見た内大臣の子息・柏木は彼女への密かな思慕をつのらせるのであった。(若菜上)

朱雀院五十の賀に際して女楽が催され、源氏は女三の宮に琴を教える。女楽の直後、紫の上が病に臥し、源氏はその看護に余念がない。その間に柏木はかねてよりの想いを遂げ、女三宮を懐妊させてしまう。柏木が女三宮に送った手紙を手にして事情を知った源氏は、懊悩する。一方で源氏の遠まわしな諷諌に、柏木は恐怖のあまり病を発し、そのまま重態に陥る。(若菜下)

女三の宮は不義の男子・薫を生むが、柏木は病篤くして亡くなり、女三の宮も罪の意識深く、また産後の肥立ちの悪さから出家。源氏は薫出生の秘密を守り通すことを決意する。一方で柏木に後事を託された親友・夕霧は、残された柏木の妻・落葉の君を見舞ううちに彼女に惹かれてゆく。(柏木)

柏木の一周忌が営まれる。落葉の宮の後見をする夕霧はその礼として宮の母から柏木遺愛の横笛を贈られるが、その夜、夢に柏木があらわれて、自分が笛を贈りたいのは別人である(薫を示唆)と言う。夕霧は源氏にこのことを相談するが、源氏は言を左右にしてはっきりと答えないまま横笛を預かる。(横笛)

夏、出家した女三宮の持仏・開眼供養が行われる。秋、その御殿の庭に鈴虫を放って、源氏らが宴を行う。その夜、秋好中宮が死霊となって苦しむ母・六条御息所の慰霊のため出家したいと源氏に打ち明けるが、源氏はこれを諌める。(鈴虫)

秋、想いを抑えきれない夕霧は人目を忍んで落葉の宮に意中を明かすが、彼女はこれを受け入れない。しかし世上による両人の噂は高く、落葉の宮の母御息所はこれを苦にして病死してしまう。落葉の宮はいっそう夕霧を厭うが、夕霧は強引に彼女との契りを結び、妻とする。雲居雁は嫉妬のあまり父・致仕太政大臣(かつての頭中将)の元へ帰って、夕霧の弁明をも聞きつけない。末尾に夕霧の行末とその一門の繁栄が語られる。(夕霧)

大病から紫の上の健康は優れず、度々出家を願うが源氏はこれを許さず、紫の上はせめて仏事によって後世を願う。春から秋に掛けての、六条院最後の栄華と紫の上の病状が描かれる。秋、紫の上は病死し、源氏は深い悲嘆にくれる。(御法)

紫の上亡き後の源氏の一年を四季の風物を主として叙情的に描く。年末に源氏は出家の意志をかため、女君たちとの手紙を焼き捨てる。(幻)

帖名のみで本文は伝存しない。帖名に源氏の死が暗示されているというのが古くからの定説。(雲隠)

源氏物語散歩

紫式部が書いた源氏物語のモチーフになった場所を巡っています

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