大原野神社は、源氏物語では第29帖・行幸(みゆき)の最初に登場。この神社は延暦3年(784年)に桓武天皇が長岡京へ遷都した際、桓武天皇の后の藤原乙牟漏が藤原氏の氏神である奈良春日社の分霊を勧請して、しばしば鷹狩を行っていた大原野に祀ったのに始まります。
春日神社を勧請ゆかりで、本殿前には狛鹿が鎮座していますね。
<源氏物語での登場シーン>
原文:その師走に、大原野の行幸とて、世に残る人なく見騒ぐを、六条院よりも、御方々引き出でつつ見たまふ。
要約あらすじ:12月に冷泉帝(光源氏の実の子)の大原野への行幸が行われ、玉鬘も見物に参加した。初めて実父(頭中将内大臣)を見た玉鬘だったが、それ以上に冷泉帝の端麗さに見とれる。そんな心中を見透かしたように、源氏は玉鬘に尚侍としての出仕を勧めた。
あと、冷泉帝が大原野神社に向かったコースはこんな感じです。
朱雀通り(現千本通り)を南へ -> 五条通りを西に向かい桂川まで、そして大原野
<玉鬘をめぐる光源氏と頭中将のかけひき>
この帖で面白いのは『玉鬘をめぐる光源氏と頭中将のかけひき』。
光源氏と頭中将は友人ですが、実は一族は『政敵関係』。光源氏は、タイミングを見計らって玉鬘の裳着の腰結いを頼みます。裳着当日ようやく親子(玉鬘と頭中将)は対面を果たします。ただ、玉鬘が冷泉帝の尚侍としての出仕を勧めることで、政敵一族よりも一歩リードしようと考える部分が、光源氏が少々ズル賢いというかクールに人生を見ている面が出ています。まあ、須磨&明石での蟄居がいい薬になったんでしょうね。
<大原野神社の基本情報>
拝観料 :無料拝観
拝観時間:自由拝観
公式サイト :http://oharano-jinja.jp/
住所 :京都市西京区大原野南春日町1152
アクセス:阪急バス「南春日町」より徒歩10分
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